【終の棲家はどこにする?】75歳以上の「都市移住」が急増中。
導入
今朝の日本経済新聞に、非常に興味深い記事が掲載されていました。
「終の棲家を求め都市へ 75歳以上の移住3割増、医療充実し子も近く」という見出しです。
記事によると、75歳以上の高齢者が、地方や郊外から、医療機関が充実し子供が住む「都市部」へ移り住むケースが、この10年で約3割も増えているそうです。
これは単なる引っ越しの話ではなく、これからの日本の「家族のあり方」や「相続」に大きく関わる重要なトレンドです。今日はこの記事を深掘りしながら、私たちが考えておくべきポイントを整理します。
1. なぜ今、都市への移住なのか?
記事でも触れられていますが、主な理由は以下の3点に集約されます。
* 免許返納後の足の確保: 地方では車がないと生活できませんが、都市部なら公共交通機関で移動できます。
* 医療へのアクセス: 高齢になると通院が日常になります。病院が近くにある安心感は絶大です。
* 子供世帯との近居: 何かあった時にすぐに駆けつけてもらえる距離に住むことは、親にとっても子供にとってもメリットがあります。
「住み慣れた土地を離れるのは寂しい」という感情よりも、「これからの安心と利便性」を優先する決断が増えているのですね。
2. 「実家じまい」という大きな課題
ここで問題になるのが、「元々住んでいた家(実家)をどうするか」です。
親が元気なうちに都市部へ移住する場合、実家を売却して移住資金に充てるケースが多いでしょう。これは相続対策の視点からも非常に理にかなっています。
* 空き家の防止: 誰も住まなくなった家は急速に傷みます。特定空き家に指定されると固定資産税が跳ね上がるリスクもあります。
* 資産の組み換え: 流動性の低い「地方の不動産」を、使い勝手の良い「現金」や、価値の落ちにくい「都市部のマンション」に換えることは、相続時のトラブル(遺産分割の揉め事)を減らす効果があります。
3. 税制上のメリットを見逃さない
もし、実家を売却して住み替える場合、税金の特例が使える可能性があります。
例えば、マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除です。
所有期間が長く、かつ自分が住んでいた家であれば、売却益から最大3,000万円まで控除できるため、税金がかからない、あるいは大幅に安くなるケースがあります。
ただし、これには「住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること」などの要件があります。「とりあえず空き家のまま置いておこう」と先延ばしにすると、この特例が使えなくなることもあるので注意が必要です。
4. 都市部のマンション=相続税対策の再考
これまでは「現金をタワーマンションなどに換えることで相続税評価額を下げる」という手法が流行しましたが、これについては国税庁の監視が厳しくなり、ルール(評価方法)が見直されています。
「都市へ移住すれば相続税が安くなる」と安易に考えるのではなく、「家族が安心して暮らせるか」「子供たちに負の遺産を残さないか」という視点を第一に考えることが大切です。
まとめ
「終の棲家」を都市部に移すという選択は、ご自身の老後のQOL(生活の質)を高めるだけでなく、次世代へのスムーズな資産承継にもつながる可能性があります。
* 今の家をどうするか?
* 移住資金はどう捻出するか?
* 相続税への影響は?
これらはセットで考える必要があります。「いつか考えよう」ではなく、元気なうちに家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。