本日は労働者性と消費税の関係の注意点の記事です。
キャバクラ従業員が「労働者」と認定。契約形態と「消費税」のポイント
先日、注目すべきニュースがありました。埼玉県内のキャバクラで働いていた女性従業員が、運営会社に対して残業代などを求めた裁判です 。
この裁判は、運営会社が解決金を支払う形で和解が成立しました 。重要なのは、両者の契約が「労働契約」であったと認められたことです 。
どんな問題だった?
この女性は、運営会社から「業務委託契約」として扱われていたようです 。しかし、実際には以下のような働き方でした。
-
時間管理: 自分でタイムカードを打刻し、退勤も管理されていた 。
-
業務指示: 着替えやヘアメイクのために、開店30分前に出勤するよう指示があった(この時間は無給) 。
-
不透明な控除: 給与からは「厚生費」「送り」名目で毎日1,000円ずつ、さらに「所得税」として10%などが引かれていました 。
女性は「自分は労働者だ」として、未払いの残業代や深夜手当、不当に控除された費用の返還を求めました 。
裁判所も、こうした実態から「労働者性」について肯定的な心証を示し、最終的に会社側が労働者であったと認める形で和解に至りました 。
【ポイント】「労働者」か「業務委託」かで消費税の扱いは変わる
さて、この記事の内容に「消費税の考え方」を加えてみましょう。
今回のケースのように、会社側が「業務委託(個人事業主)」だと主張し、働く側が「労働者(従業員)」だと主張するケースは、税務上も非常に大きな違いを生みます。
1. 「労働者」の場合(給与)
-
もらうお金: 給与(給料)
-
消費税: 対象外(不課税) です。
-
概要: 労働の対価として会社から支払われる「給与」には、消費税はかかりません。
2. 「業務委託(個人事業主)」の場合(報酬)
-
もらうお金: 報酬(売上)
-
消費税: 対象(課税) です。
-
概要: 業務委託は、個人事業主が「サービス」を提供し、その対価として「報酬」を受け取ることです。この「報酬」は事業としての売上であり、消費税の課税対象となります。
つまり、もし今回のケースで会社側の主張通り「業務委託」が正当であったなら、会社が女性に支払うお金は「報酬」となり、本来は消費税(インボイス制度も)を考慮する必要があります。
しかし、裁判所は実態を見て「労働者」と認定しました 10。これは、女性が受け取っていたお金は「報酬」ではなく「給与」であった、と法的に認められたことを意味します。
記事にあった「10%控除」は?
記事では、毎月の給与から「所得税」の名目で10%が控除されていたとあります 11。
これは「消費税」ではなく、「所得税の源泉徴収」のことです。
-
給与の場合: 会社が「源泉徴収」として天引きします(年末調整で精算)。
-
報酬の場合: 業務の内容によって「源泉徴収」の対象となる場合があります(例:デザイン料、原稿料など)。
記事のケースでは、タイムカードで時間を管理され 、業務の指示も受けていた 13ことから、契約書の名目(口頭契約だったようですが )に関わらず、「労働者」としての実態が重視されたと言えます 。