経営者の皆様、役員給与(報酬)の「定期同額給与」のルールはご存知かと思います。原則として、事業年度の途中で役員給与の額を変更すると、その変更部分(あるいは全額)が損金(経費)として認められなくなってしまいます。
■減額が認められる例外「業績の著しい悪化」
ただし、このルールには例外があります。それが「業績の著しい悪化」など、やむを得ない事情による減額です。
しかし、最近の日本経済新聞の記事でも議論されているように、問題はこの「著しい悪化」という基準が非常にあいまいであり、税務当局の判断が極めて厳しいという点です。
■どの程度なら「著しい」と認められるか?
「コロナ禍で売上が落ち込んだ」「資金繰りが一時的に苦しい」といった理由だけでは、「著しい悪化」とは認められない可能性が高いです。
税務当局や過去の裁判例が示す「著しい悪化」とは、以下のような、経営が危機的な状況を指すことが多いようです。
* 取引先や銀行への支払いが困難になっている
* 従業員のリストラや給与カットをせざるを得ない
* このままでは倒産の危機にある
■安易な減額のリスク
もし「著しい悪化」と認められないまま役員給与を減額してしまうと、減額した部分の金額が損金として否認され、結果として法人税の負担が増えるという重大なリスクを負うことになります。
私もこの問題では、過去の税務調査で調査官と議論したことがあります。その際は減額が認められましたが、慎重に検討されることをおすすめします。
役員給与の減額を検討する場合は、一時的な業績不振ではなく、客観的な財務データに基づき「経営危機」と言えるかどうかを、税理士など専門家と慎重に協議することが不可欠です。